2006年の12月。自分の会社を登記する為に法務局へ行った。

世田谷区に住んでたけど、法務局は田町の辺りだったような。
ナニワ金融道に出てきそうな、昭和のたたずまいだった。

2年半勤めたITベンチャー企業のサイバードを退職した後、個人でフジテレビの携帯ビジネスの仕事を請負うように。
当時、1円(1万円?)で株式会社設立が可能になった事もあり、思い切って法人を設立してみようと。
定款の書き方など全てをインターネットで調べて、行政書士さんなどを介さずに一人で手続きをした。

法務局での書類提出は最後の工程。ふう、ようやく終わったと、年末感のある昭和の建物の中で一息ついていた。

「てらさーん」と呼ばれ、書類を受け取り、帰ろうとすると、
窓口の女性の方が「がんばってね」と。

すごくびっくりした。これまで役所の手続きで、私語をした経験も無かったので。こんな感情のこもった言葉を投げかけられることもあるんだと。

27歳の自分が当時心の中で考えていた事は、上京して、大学を卒業し、それなりの大企業で勤めたかったはずなのに、なんで自分の人生はこんな事になってしまってるんだろう、と。いつもくよくよした気持ちでいた。なので、急に応援してもらっても、苦笑い。

でもその一言で、いつまでもこんなつまらないことを何度も考えていてもしょうがないな、と思わされたのだった。